EDU IMPRO ブログ

インプロジャパンが行っている教育分野でのインプロ活動をEDU担当、峰松佳代がレポートいたします。 https://www.improjapan.co.jp

カテゴリ: 中学生インプロ

先月は、伊豆大島の中学校と和歌山新宮市にある中学校、
2校でインプロ公演を実施してきました。

インプロジャパンがお届けする
「みんなでつくるインプロシアター」は、
上演時間の中で、色々なスタイルの即興劇をいくつかご覧いただきます。
出来上がる物語は、もちろんすべて即興。
観客の皆さまからもらう言葉をきっかけに創っていきます。

殊に、学校公演では、事前に各クラスに数枚、
架空の物語のタイトルやセリフ等の質問シート(タイトルシート)をお送りし、
本番までに、クラスで考えてもらい、
当日の本番直前に回収し、ショーがスタートします。

今年初めてお邪魔した和歌山の中学校では、
事前にそのタイトルをみんなで考えることも楽しかったそうです。
この日頂いたタイトルは、各クラス5枚ずつ合計30枚。
どれもこれも、工夫が凝らされていて、
その一つひとつが私たちにとっても、最高のギフトでした!

ちなみに、この時の様子が地元新聞「熊野新聞」に掲載されています。
20251028improtheatre

また、学校のブログに、写真と共に掲載してくださっています。

そして、もう一つの学校は、
今年で4回目の実施となった伊豆大島の中学校。
インプロの楽しみ方を知っている上級生たちが
用意してくれるタイトルシートは、
年々、クオリティが上がり、オリジナリティ溢れるものばかり!
その出会いは、私たちの楽しみの一つです。

そもそも、4年前、こちらの学校に初めてお伺いした時は、
コロナ禍明け初めての文化祭で演劇をやるので、
表現を学ぶために、鑑賞会が開かれました。

島で演劇を見る機会が少ないため、
観劇が初めてという生徒さんがほとんど。
驚きと好奇心の連続だったのか、
前のめりに食い入るように見る姿、そして、
終わった後の子ども達からの質疑応答時間は今でも忘れられません。

後日伺った話では、その年の文化祭では、
「これまではセリフを言うこと、表現することに意識があった子ども達が、
インプロを観た後から、相手を受けてセリフを発するリアクションがあり、
舞台上でのコミュニケーションが見られるようになった。
1度観ただけで、こんなに変化があるとは驚きです」
とのことでした。

以来、翌年からは、ワークショップとセットとなり、
毎年文化祭の練習が始まるタイミングでお伺いしています。
経験を重ねてきている、2,3年生がいることもあり、
今年はより演劇的なスタイルの演目を観てもらったり、
また、ワークショップでも演じることへの挑戦も!
思春期の彼らが、舞台袖で
「恥じらいを捨て、殻を破るにはどうしたらいいですか?」
と真剣な眼差しで聞いてきた時、
彼らが未来に期待をする前向きなその姿勢に、頼もしさを感じました。

『インプロ公演』は、受動的な観劇ではなく、能動的な観劇です。
観ながら、色んな感性が動きます。

芸術の秋・9月~11月は、学校公演やワークショップが多い月。
これからも、子ども達と「今」を共有し、感性と心を動かす共にする体験を通じて、
彼らの「好奇心」と「意欲」と出会えることを楽しみにしています!
20251028_145757(1)

10月の中高生クラスは、キッズクラスに通う6年生が初参加。

お姉さんたちとのインプロに、開始前は緊張の様子でしたが、
いざインプロは始まると、遠慮することなく、コミットし、
終わった後には、
「いつものキッズクラスよりも、自分のアイデアをきちんと言えた」というほど、
今、自分が思ったこと、感じたことを素直に身体や言葉で表現してくれていました。
きっと、あっという間に、その場に集中できたのは、先輩方のおかげかもしれません。
先輩の二人もまた、同じくキッズクラスからずっと受講を続けてくれている中学生と高校生。
発表会では毎度、大人達を感心させるほど、イエスアンド力と創造力を持ち備えた女子たち。
そんな二人の温かく、何でも受け入れてくれるその姿勢が、彼女を安心させてくれたのでしょう。

そんな彼女たちが最後に創ったお話、それはそれは秀逸でした。
どう秀逸だったか、、
それは、まさにインプロならではで、
「そういうお話だったんだ!」と、出来上がったその瞬間に、皆が同時に物語を知る。
その真骨頂を見せてくれたからです。

キャスト3名で、現代と過去と未来を繋ぐお話。
大作です!
そのお話をご紹介しましょう。
子ども達が創った世界を全て文字に起こしたので長編ですが、
是非、想像しながらお読みください。
ちなみに、最後には、演じた後に自分達が知った「伝説の太鼓」について語った言葉も載せています。

タイトルは、「伝説の太鼓」。
子ども達に、その太鼓について、
どんな太鼓なのか、どこにあるのか、アイデアを出してもらい、スタートしました。

*********************************
「伝説の太鼓」

あるお寺に祀られている「伝説の太鼓」。
それは、無数の太鼓の中に紛れる形で祀られており、
その本物の伝説太鼓を叩くと願いをかなえてくれるという言い伝えがあった。

時は遡り、江戸時代。

不況続きで、人々は生気を失い、占いやまじないに頼る者も少なくなかった。
商売がうまくいかない太鼓職人の男も、例外ではなかった。

「ただの太鼓なんて誰も買ってくれない。そうだ!まじない師の所へ行って、まじないを掛けてもらい、「願いが叶う太鼓」として売ってしまおう!」
まじないの力など全く信じていなかったが、人々はそれにつられて買うだろうと思った太鼓職人は、まじない師のところで粉を掛けてもらい、早速、町に売りに出掛けた。

そこに一人の男が歩いてきた。
「仕事もない、金もない、楽しいこともない。あー、何かいいことないかな」
そう呟きながら歩いていると、向こうの方から、なにやら歯切れのよい音と大きな声が。。
 「願いが叶う太鼓はいらんかねー。10両で売るよー」

「願いが叶うだって?!」
その言葉に惹かれた男は、なけなしの金をはたき、その太鼓を買って帰った。
家に帰り、早速、母親にその太鼓を見せると、
その話に興味を持った母親が、早速、太鼓を叩いてみた。

すると、なんということであろう!
母親の着物が一瞬にして綺麗な新品の着物に変わったのだ!
驚いた男が、同じように叩くと、今度はボロボロだった家屋が、立派な屋敷になるではないか!

「願いをかなえるとは本当だったんだ!」
そう思った男は、自分がこれまで願っていたことをあらかたお願いし、全て叶えることができた。
 
「全て叶えてもらい、もう僕はこれ以上叶えてもらう必要はなくなったので、これはお寺に奉納しよう」
身分をわきまえ、必要以上に欲を出さなかった男がその太鼓をお寺に預けに行き、
お寺の住職の手にわたると、今度はお寺が綺麗に蘇ったのだった。

一方、町では、彼の噂が広まり、人々は躍起になって太鼓を探し、
彼らは綺麗になった寺にあるのだと押し掛けてきた。
その中には、あの太鼓職人もおり、しかもこの男は自分が売ったにもかかわらず、
「あれは、私のものだ!盗まれたのだ!」と言い、返せ返せとお騒ぎ。
寺の外では、太鼓をめぐって醜い争いが激しくなっていった。

その頃、伝説の太鼓は、お寺の奥にある太鼓がいくつかあるところに一緒に奉納されていた。
お寺の外ではドンドン争いが激しさを増していったその時、太鼓たちに異変が!
寺の中で、人間達のやらしさを感じそれに嫌気がさした太鼓たちは、
「僕たちは君を守るよ!」と言い、なんと、「伝説の太鼓」の周りでどんどん増殖していったのだ!
こうして、『伝説の太鼓』は、
「君の力は、純粋な心の持ち主にだけ届けるようにするよ」
と語る数えきれないほどの太鼓たちによって守られたのだった。


時は、戻って現代。
この伝説の太鼓が祀られていると言われているお寺は、
今では、音楽を学ぶ子ども達やミュージシャンを目指す若者の聖地となっていた。
この日は、奇遇にも、ドラムスてぃいくを持つ子たちが次々と訪れた。
「あなたもドラマーを目指しているの?」
偶然出会った女子3人は、意気投合し、一緒にお詣りをすることにし、
持ってきたスティックを手に挟み、合掌した。
すると、なんということであろう!
3人のスティックが金色に光り出したのだ。
その光景に興奮した3人は、その勢いで駅前の音楽スタジオに行き、セッションをし、
あっという間に、ドラマーだけのガールズバンドを結成。
黄金に光ったスティックで叩く彼女たちの音を聴くと、
自然と心が綺麗になるという作用を引き起こし、瞬く間に世界に広がり、
心が純粋できれいな人々がどんどん増えていった。


そして、数十年が経った未来。
太鼓の影響で、純粋な心が育った社会はどこも綺麗だった。
また、音楽を愛する子たちが増え、町は音楽で溢れていた。

今夜も、駅前では若者たちが熱い想いを傾けながら、
「今夜、ライブがあるので、観に来てください!」とチラシを配っていた。
すると、そこにひとりの高齢の女性がやって来て、チラシを受け取ると、
「ライブは今夜だね。観に行くよ」と、笑顔で立ち去って行った。

ライブ開始時刻。
気合の入ったバンドメンバー達が登場し、
「1,2,3・・・」
と、ドラマーが叩こうとしたその時、スティックが折れてしまうトラブルが、、
しかし、その瞬間、客席からドラマーの手元に、黄金のスティックが飛んできたのだ!
驚きながらも、演奏を続けるドラマー。
すると、輝かしい音が会場一帯に響き、観客の心を包み込んだ。
その空間に更に力をもらったバンドメンバー達は、どんどん素敵な音楽を生み出していった。
客席には、体でリズムを刻みながら、その様子を温かく笑顔で見守る高齢の女性がいたのだった。

----------------------------------------------------------
<伝説の太鼓>
・それは、人と人を過去から未来までつなぐもの。
・それは、いつも心をきれいにしておくことの大切さを教えてくれるもの。
・それは、人だけじゃなく町も全てキレイにあるもの。

*********************************

いかがでしたか?
皆さまにはどんな物語が見えましたか?

インプロジャパンの中高生メンバー達によるインプロ。
今日もまた、彼らに色んなことを教わりました。
ありがとう!

太鼓


「イヤだと思っているものも見方を変えると良いものになる」
「大変な出来事がきっかけで新しいことが生まれる」
昨日の中高生クラスで、フリーシーンの最後にそれぞれが語った物語の教訓の中の一つ。
頭で分かっていることも、目の前で作った作品からそれを言われると、確かに!と納得させられる。
子ども達には、いつも色んなことを教えてもらう。
ありがとう!!
ちなみに、そのお話のタイトルは「草原の中の学校」で、
登場人物たちは、木の精霊たち。
風向きを学ぶスギくんとヒノキくんたちの学校で
ある日起こった出来事は、彼らの奮闘によって、逆に地球を救ったというお話。

8月の最後、中高生クラスの発表会がありました。
コロナ禍の間に、小学生から中学生になり、高校生になったメンバーも。。。

小学生から続けてきた3名が挑戦した発表会には、
保護者の他、インプロジャパンのメンバー達や
既に社会人になった先輩たちも観に来てくれました。

今回は、ゲーム形式のインプロの他、
「It's」というスタイルを彼ら向けに少しアレンジして、
20分程の人間模様を描いた即興ドラマに挑戦しました。

*****************
即興ドラマのお題は「風船」。

はじめに、それぞれが「風船」について語ります。

「風船。それは、子どもの時にもらうと嬉しいもの」
「風船。それは、どこまでも高く飛ぶもの」
「風船。それは、キラキラした場所で手に入るもの」

続いて、お話の舞台について語ります。

「ここは、山の上にある家です」
「そこには、子ども達が手を放して飛んできた風船がたくさんあります」
「そこには、ピエロが住んでいます」

そして、それぞれの役を自己紹介。

・タカヤ 小学2年生 
・ゆう  ピエロ 
・たなか 会社員 

もちろんここまでのこの語りも即興です。
そして、ここから、即興劇のスタートです。

タカヤが大好きなお母さんから買ってもらったお気に入りの風船が手から離れてしまい、
それを追っかけて行くところから物語は始まりました。

-----------------------------------------
タカヤが追いかけていくと、そこには、その風船を捕まえた大きなピエロがいました。
ピエロがタカヤに渡そうと思ったその瞬間、横から大きな鳥がそれを取っていってしまいます。
ピエロは、鳥に「それは彼の風船だから返してあげて欲しい。他の風船をたくさんあげるから」
と交渉し、小屋に連れて行きます。

一緒に着いて行ったタカヤはその風船の多さにびっくり!
そして、その中に、ふるーい風船を見つけます。
実は、その風船は、ピエロが10年以上前に遊園地で働いていた頃、
ある少年が風船を飛ばしてしまい、それを追いかけてきたところ、
山の上にいっぱい風船が飛んできていることを知り、以来、小屋で風船を預かっていたのでした。

その話を聞き、タカヤはピエロと一緒に、この風船の持ち主を探そうと提案。
ピエロも、その少年のことが気になっていたので、一緒に探しに行くことにしました。

場面変わって、都会のある会社。
遅刻や忘れ物が多いタナカは、いつもミスばかりで上司にも呆れられる始末。
ある日、仕事がうまくいかないタナカは、仕事をさぼって遊園地へ。

なんと、そのことが、偶然の再会を引き寄せました。
ピエロと再会したタナカは、ピエロが持つ風船に驚きます。
しかも、その風船。
タナカの手に触れた瞬間、タナカから離れず、どんどん大きく膨らみ、
タナカを押さえようとしたピエロと共に、どんどん上空へ!

それを見たタカヤは、小屋に戻り、たくさんの風船を持って、彼らを追いかけていきます。
上から自分達の住む世界を見て色々なことを思った3人は、
その後、ピエロの友達の鳥たちに手伝ってもらい、小屋に戻ることができました。

久々に子ども達と交流をしたピエロ。
子どもの頃の大切なものを取り戻したタナカ。
上空からはじめて高いところから世界を見たタカヤ。

3人は、今度は風船で小屋を浮かばせて、風船を探している人たちに届けてあげようと約束をし、
別れたのでした。

----
劇が出来上がった後、また、改めて、「風船」について語ります。

「風船。それは、誰かと誰かを繋ぐもの」
「風船。それは、どこまでも高く人を飛ばすもの」
「風船。それは、大人も子ども心に帰れるもの」

*********

今、ここに生まれる「劇」の中に、生きる。
だからこそ、登場人物として、パフォーマーとして、
同じタイムラインで、心が動き、思考がアップデートしていきます。

ほんの20分。
劇中に生きたことで、物の見方が広がった彼らのインプロは、
観ているお客さまにも、何か考える時間をくれました。


自分と違う人物を生きる演劇。
自分が創る即興。

その二つを同時に行うインプロをお客様の前で体験した彼らは、また一つ逞しくなっていました。
中高生クラス発表会



0825中















突然ですが、皆さんにとって、「ことば」はどんな存在ですか?
企業研修で、時々、非言語コミュニケーション活動の後の振り返りで、
「言葉の大切さを知った」というお声を聞くことがあります。
そして、それと同時に「でも、相手に集中すれば、なくても伝わってくる」ともおっしゃっています。


私たちは、「ことば」という便利なツールのおかげで、お互いを分かり合えたり、
密なコミュニケーションを取ることができます。
ただ、時に、その言葉に頼りすぎてしまい、言葉の向こうにあることに気づかず、
逆に、その言葉の意味だけを取って、傷ついたり、誤解をしてしまったり、
また、本意でないことが伝わってしまったり、、、という経験、誰しも少なからずあるかもしれません。
「言外」に存在するもの。それも含めて受け取り合いたいものです。


先日の中高生クラスでは、子ども達がインプロのワークを通じて、
まさに「言葉の向こうにあるもの」に気づいてくれていました。
この日行ったインプロゲームでは、意味のない言葉「ジブリッシュ」でシーンを創りました。

感動的な釣りの場面、恐怖の山登り、龍を倒し感謝を捧げるシーンなど、、
いずれも、「ジブリッシュ」で伝え合い、演じていきました。

物語づくりでは、日本語とジブリッシュを交互に語り、
ある楽器が老夫婦の窮地を救うというお話が出来上がりました。

その中で、彼らが気づいたこと、それは、頼もしささえ感じました。

・「ジブリッシュ」の向こうにある相手の想い、その行間を考えるのが楽しかった。
・感情が伝わり合い、分かり合えた感覚が嬉しかった。
・相手に読み取ってもらうためには、例え「ジブリッシュ」であっても、自分が何を伝えたいという気持ちをしっかり持つことが大事。

そこには、言葉尻だけの平面的なコミュニケーションではなく、
自分の感覚を総動員して、立体的・空間的にやり取りをすることを楽しむ姿がありました。

そして、この日の最後は、すべて日本語で少し長めの即興劇。
ここまでのところで、言葉に頼らず演じてきたことが大いに発揮され、
キャラクターたちの心が繊細に動き、それが物語となっていきました。

舞台は、海底のど真ん中にある大きな大きなビニールハウス。
実は、人魚たちがここで人間達を飼っているという、物語のスタートはちょっと怖いものでした。
ある日、ビニールハウスの中でお花を育てて暮らす少女ハナちゃんと、
その花を外から眺めて楽しむ人魚の子ども達、ロザちゃんとパラちゃんの間に、
友情が芽生えるところから、物語は進み始めます。

ハナちゃんたちを救い出すため、この世界を牛耳る人魚の魔女が住む城に忍びこみ、
奮闘したロザちゃんとパラちゃんのおかげで、最後には、人間と人魚の共存社会が誕生しました。

今回、特に感心したのは、リアクションから生まれる次の展開でした。
前半、ジブリッシュで、相手役の気持ちに寄り添ったり、仲間が伝えたいことを読み取ろうとしていたことが、登場人物たちの心が動き、次の行動を起こすということに繋がっていたのかもしれません。

即興で演じることを通じて、様々な感情と触れ合い、自分のフィルターを通して伝え合う、
そんなコミュニケーションを楽しいと語ってくれていた彼らのこれからが益々楽しみです!

このページのトップヘ