EDU IMPRO ブログ

インプロジャパンが行っている教育分野でのインプロ活動をEDU担当、峰松佳代がレポートいたします。 https://www.improjapan.co.jp

「イヤだと思っているものも見方を変えると良いものになる」
「大変な出来事がきっかけで新しいことが生まれる」
昨日の中高生クラスで、フリーシーンの最後にそれぞれが語った物語の教訓の中の一つ。
頭で分かっていることも、目の前で作った作品からそれを言われると、確かに!と納得させられる。
子ども達には、いつも色んなことを教えてもらう。
ありがとう!!
ちなみに、そのお話のタイトルは「草原の中の学校」で、
登場人物たちは、木の精霊たち。
風向きを学ぶスギくんとヒノキくんたちの学校で
ある日起こった出来事は、彼らの奮闘によって、逆に地球を救ったというお話。

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5年前から、高校の選択必修授業の中で、
「インプロゼミ」を担当させてもらっています。
対象は、高校1年生。
週1回、年間を通じて、インプロに触れ、選択必修授業のねらいである
「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考える」ことを実践しています。

この選択必修授業では、様々なテーマのゼミがあり、
年度の最後には、学年全体で「ゼミ発表」があり、
一年間どんなことを学んだかを、生徒達が披露します。

「ゼミ発表」前の授業は、生徒達で何を発表するか、打ち合わせの時間とし、
子ども達に任せ、私とアシスタントは教室の隅でその様子を見ていました。

何を学んできたかを伝えるのは、やはり「インプロ」を見せるのが一番!
という答えは、話し合いの序盤ですぐに決まり、
あとは、何をやるか。
問題は発表の時間が5分と短いこと。
伝えたいことはたくさんあり、どのゲームが一番伝わるかを、
これまでやってきたインプロゲームのリストを見ながら考える彼ら。

活発に、意見を出し合う中、
ある生徒の一言が、「光線」のようにビビットに浮かび上がって、
私の耳に刺さるように入ってきました。
「例えば、お題が『エッフェル塔』で、『エッフェル塔に行くだけ』のシーンをやるのは、これまで学んできたことが活かされていない。
『エッフェル塔』から自分がどんな世界を、何を、想像したかを演じることで伝えることをやりたい」

大きく頷く、他の生徒達。
私は、そこまで、彼らの会話に入っていませんでしたが、
思わず立ち上がって拍手をしてしまいました。
一年間、インプロで様々な物語や劇をつくってきたことを通して、
ただ言葉を表現するのではなく、言葉の奥にある可能性を想像することを得てくれていたのです。
もちろん、私が言葉で伝えたのではなく、彼らが体験を通じて得た気づきです。
その素晴らしい感受性に、嬉しく、胸が躍りました。

そして、その言葉を機に、彼らはどうやって発表するか道が決まりました。
それは、同級生達にタイトルカードを配って、色々な単語を書いてもらい、
その言葉から想像するする場面を短く、時間の許す限りいくつも演じるというものでした。

実は、そのゲームは、ウォーミングアップでやっていたので、
やったことあるゲームリストには書いていなかったのと、
しかも、いくつもの単語をタイムトライアル的にやることは、
「一年間、何を学んだか」を伝えるために最適は何か、
自ら考えたスタイルでした。

そして、「ゼミ発表」当日。
5分という時間で、彼らは会場を大いに盛り上げました。
ひとつの場面が終わるごとに湧き上がる歓声。
発する言葉一つひとつに、拍手はもちろん、
「ウォー!」「すげー!」「どこまで即興なんだ?!」と反応してくれる同級生たち。

観客席は、彼らの想像力とそれを皆で創り上げるその姿に、前のめり!
拍手喝采、大成功でした!


終わった後に、話を聞くと、かなり緊張していたみたいですが、
やはり、お客様の温かいリアクションが力になったようです。

「すごく緊張したけど、最初のシーンの後の拍手にびっくりした。
 みんなのリアクションが温かくて、その後は落ち着いてできた」
「最初引いちゃったら終わりだと思ったので、飛び込んだ。
後先考えずに入ったことで、不安が吹っ切れた」
「舞台の上で、みんなが観ている前で、
誰かの創った世界に自分が入っていくのがとても楽しかった」


舞台経験を経て、また一皮むけた彼らは、最後の授業の授業内発表会でも、
観客の先生方の前で、10分強の即興劇を披露し、堂々とその成果を見せてくれました。

ゼミは終了しましたが、
これから先、彼らがどんな世界を想像し、人生という舞台で、
どんな物語を創造していくのか、楽しみです!

★インプロジャパンでは、秋葉原のスタジオで、
月1回のペースで「中高生クラス」を開講しています。
 https://www.improjapan.co.jp/workshop/youth/ 

神戸鹿の子幼稚園( https://kobe-kanoko.net/ )
の副園長・宮城 豊先生からお電話を頂いたのは、2023年の秋。

子どもの好奇心を引き出す為の種まきの一環でできるコンテンツを探し、
ネットでインプロジャパンを見つけてご連絡をくださいました。

先生の想い、園でのお取組みやご活動を伺ったお電話の段階で、
既に心打たれ、ワクワクが止まらなかったことを今でも覚えています。

そして、実際に園にお邪魔すると、
そのワクワクは子ども達と共にさらに膨らみ、
子ども達の「~したい」が詰まった創造世界となり、
キャスト一同、幸福感に包まれました。

年少組~年長組まで、学齢別に4回に分けて実施。
我々がアミューズメントパークのキャストのように演じながらの公演付ワークショップが、
園のご活動の「種まき活動」の一助になれたら、、
という思いで務めさせていただきました。


そして、一年後の今秋。
宮城先生から「今年もお願いしたい」との嬉しいお電話。
声をあげて、喜んだことは言うまでもありません。

今年、再訪すると、驚いたことは、
4歳の年中組さん達が、私たちを見た途端、
「〇〇組さんの時にやったことあるー!!」と、大きな声で言ってくれたこと。

3歳の時に、たった30分足らずだったにもかかわらず、覚えているなんて!!
感動でした。
ほんのひとときの出来事ですが、
小さな身体の中に記憶してくれているのかなと思うと嬉しくてたまりませんでした。

2年連続で実施いただいた「認定こども園・神戸鹿の子幼稚園」。
ご依頼の根底には、我々が大切にしていることと繋がることが多く、
このタイミングでのご縁に感謝の想いでいっぱいです。

ここで、園のご紹介も兼ねて、
「インプロジャパン」を探してくださった副園長の宮城先生に、
実施後、色々とお話を伺いました。

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Q.まずは、貴園についてご紹介ください。

A:
自然環境に恵まれた、神戸市北区にある認定こども園です。
子ども達の興味・関心に基づいた主体的な活動を通して、
一人ひとりの心が満ち溢れる「こと」や「もの」を探求します。

卒園するまでに何か一つでも
「これをやっている時が楽しいな、充実しているな」
と思えることを見つけ出すお手伝いがしたいと考えています。

Q.今回、インプロを実施した背景とそのねらいを教えてください。

A:
本園は、子どもたちの主体的・対話的・深い学びを軸とした保育を展開しています。
従来のような「音楽会」や「お遊戯会」といった行事も見直し、
子ども達が「挑戦してみたいこと」「見てもらいたいこと」、
「興味や関心があること」を紹介するプログラムに再編いたしました。

保育でよくある劇遊びですが、「劇遊び」をやることを前提として、
子ども達が練習していくと、先生が引っ張っていく練習主体となってしまいます。
本来は「表現遊びをしたい」⇒「劇遊びをしたい」という流れであり、
その大前提に「表現することって楽しい!」という気持ちがあります。

そのような気持ちを育むための「園の種まき活動」を探していたところ、
テーマを決めず、子ども達の発想、子ども達が発した言葉から、
即興で劇を創作されるインプロジャパンさんを見つけ、
それは、まさに本園が求めていたものを具現化してくださる劇団さんでした。

Q.昨年実施後、子ども達、先生方の様子に変化はありましたか?
様子をお聞かせください。

A:
実施後は、特に、子どもたちは何かの役になりきってお友達と遊ぶ姿が増えたように思います。

学年全体で表現遊びを経験させていただいたため、
自分自身で表現することの戸惑いが減り、表現する楽しさを見つけたように感じています。

職員においては、表現遊びの幅が拡がり、
子ども達との関わり方の引き出しが増えました。

また、参加とは「周りと同じことをしている」ということではなく、
「同じ空間と時間を共有」していることが参加である、というお考えは、
本園のこども観とも重なり、一人ひとりの個性を尊重する保育に活きています。

Q.今年も実施いただきました。実施した感想をお聞かせください。

A:
昨年度インプロを経験している園児は、より意欲が高かったように感じます。
本年度も心の育ちの部分を含め、本園が望んでいた経験をそのまま形として提供くださいました。

Q.先生から見て、インプロの活動は、
子ども達にとってどのような効果があるとお考えですか?


A:
私が思う効果は以下の通りだと感じています。

★表現することの楽しさを味わうことができる。
★自分自身の表現を認めてもらえる機会は、自己肯定感の向上につながる。
★表現遊びを通じたお友達同士のコミュニケーションが生まれる。
★想像力が豊かになり、創作意欲が高まる。

Q.「神戸鹿の子幼稚園」では、今後、どのような取り組みを目指されますか?

A:
20年後の社会に必要な資質能力を見据え、
園だけではなく、お家の方、そして地域の力も一体となって、
子ども達にとってよりよい気づきや学びにつながる環境を提供し、
こども真ん中の保育を追究し続けていきたいと思います。
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